人とは違ったオシャレな写真が撮りたい、味のある写真が撮りたい、そんな人にオススメのトイカメラ。今ではサブのカメラとして持っている人も結構いる。今回はそんなトイカメラを使って、誰でも簡単にオシャレな写真を撮る方法を紹介する。
トイカメラってどんなカメラ?
トイカメラとは言葉そのまま、おもちゃのようなカメラなんだけど実は結構奥が深い。一般的なカメラと比べると作りもチープで、それ故に現像した写真を見てみると、強烈なコントラストのある写真が撮れたり、トンネル効果を生み出したりと、普通のカメラでは撮影することのできない写真を撮ることが出来るのが魅力だ。
普通のカメラと違って露出光やシャッタースピードなどの調節もシンプルで、難しい操作も必要ないので誰でも簡単に撮影を楽しむことができる。
価格については1万円以下で購入できるものがほとんどだけど、トイカメラの王様と呼ばれるLomoのLC-Aだけはちょっとお高い。今は生産しておらず(中国製のLC-A+と間違えないよう注意)デッドストックなら2~3万円、中古品なら1万円くらいが相場だと思う。
トイカメラにもフィルムカメラとデジタルカメラがあるけど、僕がオススメするのは断然フィルムカメラ。フィルムの種類によっても撮れ方が全然違うし、何よりトイカメラ最大の魅力であるクロスプロセス現像が楽しめちゃう。
トンネル効果
トンネル効果とは写真の四隅の周辺光量が落ちることによって、トンネルの中から外を覗いたような写真が撮れてしまう現象だ。そもそもこの現象、一般的なカメラで撮影している人にとっては周辺露光落ちと呼ばれ撮影失敗と同義語である。しかし、トイカメラで撮影する人からは「アレ?この写真エモくね??」みたいに思われて、ポジティブな意味で捉えられている。
では、どうやってトンネル効果のある写真を撮るかと言うと『トイカメラで撮影する』これだけである。作りがチープなトイカメラは一般的なカメラに比べると周辺露光落ちする可能性が高いのだ。
トイカメラで撮影するだけなのだが、撮った写真全てにトンネル効果が出るかと言われれば答えはNoである。結論を言うとトンネル効果を完全にコントロールすることは難しい。
ただ、トンネル効果が発生する確率を上げることは可能だ。以下のことをすればいい。
快晴の日に撮影する
これは僕の経験則だけど、晴れている日の方が圧倒的にトンネル効果は起こりやすい。おそらく曇りの日でもトンネル効果自体は発生しているけれど、コントラストが弱すぎてプリントした写真を見ても露光落ちが分からないのだと思う。確実にトンネル効果を出したいのであれば、快晴の日中に撮影をすれば発生確率はかなり上昇すると思う。
リバーサルフィルム(ポジフィルム)を使う
前述したようにコントラストが弱いとトンネル効果が出ていても気付き難い。リバーサルフィルムを使うことで容易に高いコントラストを得ることができ、トンネル効果を出しやすくする。また、リバーサルフィルムを使用することで、この後説明するトイカメラ撮影最大の魅力でもあるクロスプロセス現像も楽しむことができる。
多重露光
多重露光とは1コマの中に複数の画像を重ねて写し込む技法だ。やり方は使用するカメラによって変わってくるが、大別して以下の3種類の方法がある。
カメラに標準設定されている多重露光モードを使用する
この方法は一番簡単。多重露光機能を有しているカメラで撮影するだけ。
多重露光モードを搭載しているトイカメラの例:LC-A+、Diana F+等
フィルムの巻き上げとシャッターチャージが連動していないカメラを使用する
現在のフィルムカメラは巻き上げと同時にシャッターチャージが行われるが、古いカメラには巻き上げとシャッターチャージが連動しておらず、手動でチャージしなければならないものがある。このようなカメラを使えば一度撮影した後にフィルムの巻き上げを行わず、シャッターチャージだけを行い最初に撮った画像の上に重ねて撮影することができる。
このタイプのカメラの一連の動作を要約すると
フィルムの巻き上げ → シャッターチャージ → 撮影 → フィルムの巻き上げ → 以下繰り返し
上の動作から『フィルムの巻き上げ』を除けば多重露光させることができる。
フィルムの巻き上げ → シャッターチャージ → 撮影 → シャッターチャージ → 撮影
手動でシャッターチャージするトイカメラの例:SMENA 8M、HOLGA等
セルフフィルムスワップ
これは一本撮り終えたフィルムを再度カメラにセットして、二回目にその上から撮り重ねるという手法だ。上記の2つに当てはまらないカメラでどうしても多重露光を楽しみたい方はこの方法を試してほしい。ただし、この方法は一回目の撮影内容を覚えておく必要があったり、再度フィルムをセットする際にコマずれを起こしてしまう等のデメリットもあるので注意が必要。
クロスプロセス現像
クロスプロセス現像とはリバーサルフィルム(ポジフィルム)をネガフィルム用の現像液で処理すること、もしくはその逆(ネガフィルムをポジの現像液で処理)で処理することを指す。一般的に前者の現像方法で使う場合が多く、ここでもその場合について説明する。トイカメラで撮影した写真に強烈なコントラストを与えたい時にこの手法を用いることが最も多く、またトイカメラ最大の魅力とも言える。
「自分で現像なんて出来ないよ」と思った人、全く問題ない。僕も出来ない。撮り終わったフィルムを店に持ち込んで「クロスプロセスで現像お願いします」と言えば大抵の店員さんは把握してくれる。
個人店では断られるなんて事を聞いたこともあるが、僕は今まで断られた事がない。それでも心配なら大手のチェーン店を利用すれば問題ない。
ただし、大手のチェーン店の場合、その店舗でクロスプロセス現像が出来ない場合があり、その時は外注に出される。そうすると手元に届くまで1週間以上時間が掛かる場合もある。
また、一般的な現像、プリントに比べてコストが掛かる点にも注意が必要だ。
最後に、若干距離は異なるが同じ被写体を撮影し、一般的な現像とクロスプロセス現像がどれくらい異なるか比較してみた。下の写真左が普通の現像、右がクロスプロセス現像となる。同じ被写体なのに全く雰囲気が異なっているのが分かると思う。
まとめ
今回はトイカメラをもっと楽しむために知っておきたい3つの技法、トンネル効果・多重露光・クロスプロセス現像を紹介した。
これらは誰でも簡単に行うことが出来るので、是非チャレンジしてほしい。そして、自分だけのカッコイイ、オシャレな写真を撮って、もっとトイカメラのことを好きになってもらえればと思う。